劇場版 カードキャプターさくら

シリーズ初の劇場版となる本作は、全52枚のクロウカードを捕獲し、さくらカードへと変化させ終えた後の夏休みを舞台にしている。さくらのクラス全員が、小狼の故郷である香港への修学旅行に出発する。当初は勉強と楽しみに満ちた滞在となるはずだったが、やがて謎めいた出来事へと転じていく。
現地でさくらは、幾度となく古い塔へと引き寄せられる不思議な幻視や夢に悩まされる。その塔は、クロウ・リード自身の魔法の原点と結びついた、正体不明の存在に守られていた。ケルベロスとユエは、カードよりもさらに古い力が働いていることを察して不安を募らせる一方、地元に詳しい小狼は、いつもの照れくささを隠しながらもさくらを守ろうとする。
劇場公開作にふさわしい緻密な作画と壮大な音楽に彩られた本作は、さくらと小狼の芽生えたばかりの関係を掘り下げると同時に、さくらが意図せず受け継いだ魔力の起源に新たな光を当てている。テレビシリーズの正史からは独立した特別編でありながら、その精神には忠実な、見応えのある一作である。