プロローグ さくらと2匹のくま

この短いプロローグ編は、より落ち着いた内省的なトーンで、シリーズの他の作品とは一線を画している。物語は、さくらがクロウの本を発見するよりも前――魔法によってまだ日常が一変していなかった頃――を舞台にしている。
二つのくまのぬいぐるみをめぐる物語を軸に構成された本作は、日常が非日常へと変わる前の、さくらと家族・友人たちを結ぶ温かな絆を描いている。この中で桃矢は特に中心的な役割を担い、シリーズ全体を貫く兄妹の関係性を先取りするような場面が描かれる。
ファンにとって貴重で稀少なこのプロローグは、「魔法を知る前」のさくらの生活を垣間見せてくれるとともに、シリーズを通して彼女が体現していく思いやりと人への愛着という価値観が、すでに彼女にとって自然なものであったことを、さりげなく浮かび上がらせている。